バニラの枯渇危機

NOBUO NAKAGAWA

2017.05.19

今、世界的なバニラの需要拡大と、不作が連鎖して、バニラビーンズの価格は高騰しています。

バニラビーンズ.jpg

数年前の10倍近い高騰ぶりで、とんでもない値段になりつつあります。高いだけではなく、買うこと自体ができないという有様です。わかりやすくいうと、銀相場の2倍出しても買えません。つまり、銀よりはるかに高いのです。

プレマルシェ・ジェラテリアのバニラフレーバーは、ウガンダの少年兵を親殺しや犯罪から救い出すための資金に使われるフェアトレードベースのバニラを使ってきました。このバニラを丁寧に開き、鞘もバニラビーンズもミルクの中でしっかり香りを移して作る特製のカスタードクリームを、贅沢に使っています。

大変高い評価をいただいているバニラフレーバーなのですが、ウガンダ産はもう買えませんと連絡があって数ヶ月。日本の製菓問屋には軒並み連絡しても、価格すら出ない状態で、売ってもらうことができなくなっています。

じゃあ、自社には貿易チームがあるので、そのときは海外から直接調達すればいいやと油断していたのですが、世界中のバニラ生産者にあちこちメールや電話をしても「米国以外は売らない」という有様で、もう、万策尽きつつあります。

ウガンダのバニラビーンズの在庫はあと400グラムほどで、これがなくなってしまうと、ほんもののバニラビーンズを贅沢に使ったフレーバーは、もうご提供できなくなってしまいそうです。

もし、運が良くて買えたとしても恐ろしいほどの価格になってきていますので、プラス何百円かの追加をいただかないと、たちまち赤字になってしまいそうな状況です。

コンビニアイスの類いや、安いジェラートには合成バニラ(バニリン)が使われているのでバニラ価格など全く関係ないのですが、私たちのようにほんもののバニラビーンズを使う店にとってはほんとうに死活問題です。

当店の場合、別のフレーバーを作るときに補助的に使っているバニラエッセンスですら、オーガニックの高級品を使っています。こちらもいつなくなるか分からないということで、ある程度はまとめて購入していますのでしばらくは大丈夫かと思いますが、バニラビーンズを使っているプレマルシェの薫り高いバニラフレーバーは、近日終わってしまうことが予想されます。

このようなことを書くと、なおさらにバニラに人気が集中しそうですが、どうぞ今のうちに、合成ではないほんもののバニラのコクと香りを楽しんでいただきたく、枯渇する前にお知らせしました。

何ヶ月か先「どうしてこの店にはバニラはないの?」または「なんで、どこにでもあるバニラがこんなに高いの?」と言われたとき、「偽物の合成バニラではなく、ほんものを使っていたので、もうなくなってしまった(ものすごい高値で調達した)のです。」とご説明しないといけないときが来るかもしれません。信じていただけないといけませんので、その際にはこの2017年5月19日の記事をお見せしようかとも思っています。

さすがに、どんな状況になっても、当店で合成バニラを使うことは絶対にありませんが、仕方なくバニラを数年前から仕込んで作ったペーストに切り替えることがあるかもしれません。これならまだ手に入りそうな状態で、思い切って数年分を抑えてしまう必要があり、こちらも既に相当な高額です。今、そこを思い悩んでいるところです。

なんとか、バニラの収穫が好転することを祈りつつ。

1分でわかる
プレマルシェ・ジェラテリア

  • 自然食屋が、そのノウハウの全てを注ぎ込んだ京都のジェラート店
  • イタリアジェラート協会 国際コンテスト3年連続複数部門受賞
  • 正統イタリアン・ジェラートでありながら、和素材を生かしている
  • 機能素材やスーパーフードを多用し、罪悪感ゼロで楽しめる
  • 日本最大級のヴィーガン、ノンミルクジェラートの品揃え
  • 安価で味の粗いサトウキビ由来の白砂糖は一切不使用
  • 合成乳化剤・合成安定剤、合成食品添加物は一切不使用
  • 主に外国人から特別に高い評価を受け、行列になる日もある
  • チーフ・ジェラティエーレ(ジェラート職人)は中川信男
  • 前代未聞の「ジェラートのすべてが米素材100%」も各種開発
  • 「食べたら血流が増加する」という公的試験機関データあり
  • 京都でフードバリアを超えるというプロジェクトを立ち上げ
    Beyond “Food barrier”! 参照 )
  • 私たちが作るジェラートは「心の薬である」と真剣に希求