豆腐をジェラートにする

NOBUO NAKAGAWA

2017.04.06

なんだか、パッションが前に立つ話しばかりで固くなりそうなので、豆腐のようにソフトなフレーバーをご紹介。

こちら、豆腐ジェラートです。「男前豆腐店のどっさり豆腐」が正式名称になります。(お隣は、ゴマブレンドですが、今日は豆腐について。)

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お豆腐は、ミルクと合わせています。完全植物性も可能といえば可能ですが、たとえば豆乳に豆腐を入れて豆腐ジェラートといっても、はっきりいっておいしくありません。もちろん、豆腐だけを使うという技法もありますが、これではテクスチャーがアイスクリームもどきにはなっても、ジェラートとはいえない状態になってしまい、これはこれでヴィーガンの方向けに、別に今後用意しようかなと考えています。

ミルクと豆腐の相性はとってもよくて、ミルクの濃厚なコクにあっさりした豆腐が出会うと、なんともいえない幸せな味と口溶けが感じられます。このフレーバーを試作するにあたり、最初は京都の店頭でつくっておられる豆腐をと思ってやってみました。しかし、そこには2つの心配がありました。

・細菌数制限の問題

加熱過程を経て作るのが豆腐なのですが、そのあとの水につけて保管し、素手で扱う、という伝統の方法では、日本におけるアイスクリーム製造基準の細菌数基準には不安が残ります。もう少し基準は寛容でもいいんじゃないかと作りながら思うのですが、法律は法律。ちゃんとデータを確認する必要があります。

しかし、店頭の水に浸かったお豆腐で細菌数検査の最新にアップデートされた情報を持っておられるところは見つけるのが難しく、また、「細菌数のデータありますか?」と聞くこと自体が憚られるという雰囲気もあります。

・味の問題

細菌数とは別の話で、味だけで試作はやってみましたが、いまいちしっくりこない結果を繰り返しました。豆腐の甘みと豆、にがりの苦みを感じられ、かつ濃厚な感じは、一つの豆腐メーカーの豆腐でした。

という、この2つの事情をクリアしたのは男前豆腐店のお豆腐です。男前豆腐は京都では有名で、濃厚さがしっかり残っていて、しかもクリーミー。しかも、充填後に加熱殺菌工程が入っているいわゆる充填豆腐なので、菌の問題もOK。本社にデータを依頼したところ、翌日にはデータの写しをいただいて、安心できると確信し、プレマルシェ・ジェラテリアの豆腐フレーバーは男前豆腐を使うことに決めました。

広報の方にも確認し、男前豆腐を使用という説明は全く問題ないですという再確認も経たうえで、この名前を冠し、ご提供しています。

どっさり、と謳っている以上、どっさり使っていますので、豆腐感満載のたまらない口溶けと風味です。どうしても豆腐という関係上、乳たんぱくではない植物性タンパク質が多くなりますので、イタリアンジェラート特有のねっとりした感じではなく、さっくりした印象になりますが、これがまたいいのです。軽さがあって、しかも豆腐とミルクの風味が混ざり合い、何段階にも香りを感じることができます。

このフレーバー、食べるときには最初はそのままで、後半はお醤油をかけてみてください。もう、まさに冷や奴の特別にうまいやつ! 店頭でご用意しているお醤油もまた格別、オーガニック認証がついており、そのうえ2年以上の木樽での発酵を経て作られた、特級のほんものです。
有機認証木樽しょうゆ http://www.binchoutan.com/premashanti/seasoning.html#syouyu

こんなに高いお醤油をジェラテリアのフレーバーのためにご用意しているのは、ある部分ではばかげているともいえますが、私は単においしいだけのジェラート屋になりたいのではありません。自然食の可能性を知っていただく間口としてのジェラート、そして素材のポテンシャルを引き出すアートとしてのジェラートという意味合いで、サブ素材やトッピングにも、ほんものを使いたいと考えているのです。それが、文化としてのイタリアンジェラートを学んだものの責務であり、日本発のナチュラルフードが秘めている可能性を引き出すお仕え事だと思っているからです。

※結局、やわらかい豆腐が、堅くまとまったようで。

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1分でわかる
プレマルシェ・ジェラテリア

  • 自然食屋が、そのノウハウの全てを注ぎ込んだ京都のジェラート店
  • イタリアジェラート協会 国際コンテスト3年連続複数部門受賞
  • 正統イタリアン・ジェラートでありながら、和素材を生かしている
  • 機能素材やスーパーフードを多用し、罪悪感ゼロで楽しめる
  • 日本最大級のヴィーガン、ノンミルクジェラートの品揃え
  • 安価で味の粗いサトウキビ由来の白砂糖は一切不使用
  • 合成乳化剤・合成安定剤、合成食品添加物は一切不使用
  • 主に外国人から特別に高い評価を受け、行列になる日もある
  • チーフ・ジェラティエーレ(ジェラート職人)は中川信男
  • 前代未聞の「ジェラートのすべてが米素材100%」も各種開発
  • 「食べたら血流が増加する」という公的試験機関データあり
  • 京都でフードバリアを超えるというプロジェクトを立ち上げ
    Beyond “Food barrier”! 参照 )
  • 私たちが作るジェラートは「心の薬である」と真剣に希求