イタリア製ジェラート製造機の故障

NOBUO NAKAGAWA

2017.07.13

プレマルシェ・ジェラテリアでは、おいしいジェラートを製造するために、日本で手に入る最も高級な装置を使っています。

イタリア製で、国産機や他国、他メーカーのジェラート製造器では決して出すことのできない滑かさやテクスチャーを創り出すことのできる最高機種ですが、残念なことにそこはイタリア製、当初からあちこちがトラブルの連続でした。高級外車が買えてしまうほどの金額なので、どうしても普通はもっと安いイタリアの別メーカーのものをと考えるわけですが、やはり最高のジェラートを提供するためにはこの会社の機械しかないと決断、導入しました。

ジェラートが適温(-10度前後)になっても硬いままというケースがありますが、これは

1 機械の老朽化か、機械の性能が悪い
2 レシピの根本的な設計ミスまたは知識不足
3 ジェラートとは呼べない原材料配合

が原因と考えられます。

そんなことは充分承知なのですが、今年の5月中旬くらいから、様々なトラブルがあり、「機械の調子が悪い」とこの会社に何度も連絡をしてきました。イタリア製だから、と何度か自分で飲み込もうとしましたが、明らかにおかしく、最近は頻繁に機械停止を起こしている状態でした。しかし何度チェックをお願いしても「機械には異常は見当たらないので、レシピの問題じゃないですか」という話しになってしまい、6月までは完璧な状態で仕上がっていたジェラートが、最近芳しくないわけだから、故障に違いないと繰り返し交渉、やっと東京から技術者がやってきてくれました。

製造をお見せすること1時間。

「これは(冷却器の)ガス漏れですね。」と一発で判別、今日は一切の製造を中止して、小型の試作機だけを運転して試作に邁進して様子を見ていました。

もう、バラバラになってしまった製造器です。

DSC_5297.JPG

早い話、5月の中旬以降のジェラートは、本来のプレマルシェ・ジェラテリアのジェラートとは呼べなかったことになります。なんとか機械の操作だけでいい線まで持って行っていましたが、冷却に異常に時間がかかっていた(本来5分のところ、15分以上)ということになるので、最近お召し上がりいただいていたジェラートの味は、正しい状態の70%くらいのレベルだったと推察されます。申し訳ありません。

ただ、この間にお越しいただいたお客様にも「世界一おいしい」と言っていただいていましたので、明日からは、もっとおいしくなります! ジェラートの味の大きな要素は素材やレシピはもちろんですが、製造器の最高のポテンシャルのときに発現する適切な空気感と滑らかさです。これは表結晶の大きさと、オーバーランと呼ばれる素材が自ら囲い込む空気量のことで、少なすぎるとおいしくないジェラートになります。無理矢理空気を吹き込むアイスクリームやソフトクリームとは違い、素材そのものが氷結する段階で抱き込む空気の感じはジェラートをさらにおいしく感じさせる重要な要素です。時間をかけて氷結させることでこの感じが悪くなってしまい、「ちょっと硬くてゴメンナサイ、がんばって練りますね」と、なんとか人力でカバーしていましたが、これからはそれも必要なくなります。

人が練らないと硬くておいしくないジェラートは、ジェラートとは呼べず、すべてが素材の織りなす状態で氷結晶を細かく、そして素材が自ら望んだ空気を内包することで最高の状態になります。

やっと、超高額の機器のポテンシャルを最大限に感じていただける状態になりました。ぜひまた、プレマルシェ・ジェラテリアで感じていただきたく思います。

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1分でわかる
プレマルシェ・ジェラテリア

  • 自然食屋が、そのノウハウの全てを注ぎ込んだ京都のジェラート店
  • イタリアジェラート協会 国際コンテスト3年連続複数部門受賞
  • 正統イタリアン・ジェラートでありながら、和素材を生かしている
  • 機能素材やスーパーフードを多用し、罪悪感ゼロで楽しめる
  • 日本最大級のヴィーガン、ノンミルクジェラートの品揃え
  • 安価で味の粗いサトウキビ由来の白砂糖は一切不使用
  • 合成乳化剤・合成安定剤、合成食品添加物は一切不使用
  • 主に外国人から特別に高い評価を受け、行列になる日もある
  • チーフ・ジェラティエーレ(ジェラート職人)は中川信男
  • 前代未聞の「ジェラートのすべてが米素材100%」も各種開発
  • 「食べたら血流が増加する」という公的試験機関データあり
  • 京都でフードバリアを超えるというプロジェクトを立ち上げ
    Beyond “Food barrier”! 参照 )
  • 私たちが作るジェラートは「心の薬である」と真剣に希求