譲れないもの

美しい味

国語的には、明確に間違っていますし、仮にこの文脈が間違っていないという前提にたったとしても、そんなことを作り手がいうのは間違っています。

しかし、私は今日、「味の美しさ」に感動しました。

いろいろなものを食べ、おそらく、自然食の仕事についているということは世の中の頂点のような素材をたくさん食べてきたわけです。一時期は、私たちの扱っている品々がテレビで放映されることが多く、ものすごい勢いで注文が殺到(1分間に100件、とかのレベルです)、それらは量産品ではないうえに非常に丁寧に作られているものなので、簡単に生産は増やせません。

「なぜ、オンラインで在庫管理をしないのか」
「放映されたら売るものがないて、無責任だ」
「詐欺だ、訴えてやる」

と何度もお叱りを受けながら、謝るのが精一杯なのです。

こんなことを17年間やってきて、私が心がけてきたことは、
絶対に生産して下さっている人に無理はいわない、
ウソをついて代替はしない(たとえば、中国産を国産などとする)、
ないならないという、
儲けだけを考えない、
ということでした。

最近はウェブサイト上の注意書きも慎重に表現を考えながら、こういったときのアラートシステムも備えて、一昨日のある取扱食品のテレビ放映による注文の爆発的集中も発生から3分でわかり、ウェブサイトをストップさせることもできるようになりました。

通販会社として、または流通会社としてはこれでいいのでしょう。

・・・・しかし。

私にはわかってしまいました。

何かを一生懸命、ひたすらに情熱をかけ、大切に思い、そしてものを単なるものと思わず、魂が宿るものとまで真剣に打ち込んで産まれ来たとき、その作品のもつ味は美しく、作った人間ですら感動してしまい、涙が止まらなくなるのです。

これは、自分が作ったから、もしくは自社で開発したから、ということではありません。

調和に満ちた何か究極の状態が産まれた時、その味はおいしいを超えて、美しいの域に入ります。

何を書いているのか自分でもよく分かりませんが、それぞれの素材を作ったのは全く別の人たちです。それらを組み合わせたのは私やジェラティエーレの駒水で、実際に生産の最後は最高の機能を備えた機械が助けてくれます。なにひとつ欠けてしまっては、いけないのです。

私は今回の「美しい味」を感じたとき、それらの素材がどこで、誰がどのような思いで作っているかを短くない年数、知っています。その全てではありませんが、一部を、おそらく日本人としては何番目かに分かっているわけです。分かっていないとしても、それを感じ続けてきたからこそ、弊社でずっと販売してきたわけで、それぞれの素材についてお客様の声を聞いてきました。

そんな全てが蓄積し、たぶんもう生まれ出ると決められた中で、私や私たちがただそこに介在し、一つの流れの中で与えられた働きを行い、そして一つの結論としてのジェラートになったのです。

アホらしい話しだと思いますが、私はほんとうに味というものに、そしてジェラートというものに、真実の涙を流しました。

なぜそんな気持ちになったのか、それは私にも結局よくわかりません。

値段をつけるとか、売るとか売らないとか、そういう次元の話しではなく、美しいものがそこに産まれ来たということに、私は心から感動しています。

それを食べた人は、たぶん「あー、こういう味ね」と言うことだけなのかもしれません。

それはそれで充分です。

私は、私の手の中に、私の心の薬がすでにあることを感じました。

それはジェラートではない、それは食品でもない、それは、思いが繋がりあったときには、ものすごいものがそこに生まれ出るという事実の発見です。

願わくば、万に一つでいいので、誰かが「この味で救われました」と、いつかその声を聞くことを望みます。でも、叶わなくても構いません。

もう、誰かの評価のためにこれをやっているのではないということもよく分かりました。

イノチノカギリ、イキトシイケルモヲツナグシゴトヲハタスコト。ソレガイヤサカノミチ。

『命の限り、いきとしいけるものを繋ぐ仕事を果たすこと。それが弥栄の道。』

私の魂は、そういっているようです。

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