譲れないもの

お店で泣いていただく

たしか、あれはおとといのこと。

たまたま、ジェラテリアのスタッフがとっても忙しそうなので、私も通りがかりでヘルプに入っていました。

60代と思われる男性が、レジの前で泣いておられます。

「何かありましたか?」とおたずねしました。

 

聞けば、お孫さんは7人。そのお孫さんの中に、ミルクアレルギーがあるお孫さんがお一人だけいるらしいのです。

「いつも、孫を連れて何か食べにいっても、そこ子にだけ、あれはだめ、これはだめと言わないとダメなんです。」

とおっしゃいます。

一人電車に乗って、1時間半かけてご来店いただいたとか。

「じゃあ、これはミルクも卵も入っていませんよ。」とご試食を出しました。
「これも、ミルクも卵も使っていません。」
「これも、大丈夫です。」
「これも、ミルクの味ですけど、ミルクも卵も入っていませんから。」

これを、およそ20回繰り返しました。

一口召し上がるごとに、

「こんなにおいしいのに、ミルクも卵も入っていないなんて、
孫が食べたらどんなに喜ぶかな!」

と、涙を流されるのです。

 

「だから、アイスクリームやには踏み込まないことにしていたんです。
どこに行っても、ダメなモノだけ。
お店にも事情をわかってもらえないので、行かなかったのです。

テレビでこちらのことをみて、まずは私一人で偵察にきました。
お話もお伺いしてみたかったので。

こんなにいっぱい、孫が食べられるものがあるなんて、
もう夢みたいです。

あの子にはね、アイスは食べさせてないんですよ。

他の子には一切アレルギーがないので、
1人だけ不憫でならないのです。

だから、こんなに食べられるアイスクリームがあるなんて、
ほんとうに夢みたいです。」

 

ミルクも卵も一滴も入っていない、サンゴミネラルのカルシウムリッチで、
精白輸入糖の1粒も入っていない、お孫さんが好きそうなジェラートだけを私がお選びして、
お孫さんのところにお送りする手配をしました。

私が考えていたことは間違っていませんでした。
ジェラートには、人を笑顔にする力があります。

そして、感極まって、涙を流していただくこともできるのです。

抱えきれない気持ちを、プレマルシェ・ジェラテリアで
全部、置いていっていただきたい。

そんなに素晴らしいものを、より素晴らしいものにするために、
私はフードバリア®を研究し、啓蒙し、日をあて、
それを飛び越えていくことを改めて意思しました。

ジェラート職人としての名誉や名声、売り上げや、
原価や膨大な手間ですら、もうそんなものはどうでもいいのです。
そんなことは、くだらないことに過ぎません。

今頃、お孫さんが満面の笑みでジェラートを口の周りにいっぱいつけながら、
かぶりついていただいていることが見えてくるような夜になりました。

 

 

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