精進(ヴィーガン)プリン

NOBUO NAKAGAWA

2017.05.12

非常識なことを、常に考えている私なのですが、製菓業界には40日前までいなかったこともあって、さらに非常識なことを考えました。

その、非常識な考えは、

「冷たくして素材の水分を固めるのは、ジェラート。」

「暖かくして素材を固めたら、プリン」

というものです。

製菓でずっと修行してきた人から言わせたら「素人がアホなことを言っている」ということになろうことは承知の上ですが、考え出したら止まらずという性分で、実際にやってみました。

生涯で、プリンをゼロから作った経験はなく(インスタントミックスは何回か子どものころ使いました)、ましてや、卵がなぜ熱で固まるかというロジックは科学的な意味合いで理解していないので、じゃあ、卵もミルクも生クリームも白砂糖も使わないでやってみよう、という、これまた非常識の極みにトライしました。

糖質や脂質とその周辺についての概念は勉強済みなので、とにかくレシピを書いてチャレンジです。

DSC_4890

ビギナーズラックとはよくいったもので、1回目に作った試作は「これが卵もミルクもなし?!」という、驚きのおいしさに仕上がりました。もちろん、全て和素材です。外来の素材はこの時点ではゼロ。

つい、通りかかったスタッフや、来店のお得意様に「食べて食べて!」と振る舞ってしまいたくなる味です。いくつか治したいポイントはリストアップしました。

ただ、明後日の地ビール祭のためのビールジェラートの製造が忙しく(500カップ作ります)、結局それにつきっきりで、改善試作はできず。

スタッフが帰ったらやろう、とレシピだけ書き直し、さらにコクとうまみが出るようにと、もう1度やってみました。ジェラートなら、こうすればさらにおいしくなる、という定番の構成です。

しかし。

・・・・・。

まずい。

○○と、○○を、○○して、ジェラートなら間違いなくおいしくなりますが、冷たくするのと熱くするのとでは、味の出方の違いはもちろん、テクスチャーの出方のベクトルが全く違います。

アホなので、次はもっとおいしいはずだからスタッフに食べさせてあげたい!と思い、こんなにつくってしまいました・・・・

帰りの足取りは重く、極度に落ち込みました。

DSC_4892

ましてや、心重く、なんとか引きずるように帰宅したところ、名誉会長が起きており、少し食べた名誉会長は「うえーっ、うえーっ」と洗面台で吐く真似をされ、私の細い心はさらに折れました。

19723

ジェラートの味について、常に態度で表明する瑞基名誉会長

この、うんこ漢字ドリルやろう!

でも、失敗は成功のもと。何をどうすればよりまずく、ダメになるのかはよくわかりましたので、

「まずくて申し訳ないけれど」と断って、今日のお昼にスタッフに食べてもらうことにしました。

スタッフはやさしいので、たぶん名誉会長のように、「うえーっ、うえーっ」などと言わないはずです。

一つわかったのは、プリンはいかにレシピを単純にするか、というのが大切なようです。私のノンミルクジェラートは極めて複雑なので、つい、そうしたらいいのかと思いましたが、事実は逆のようです。

ノンミルク、ヴィーガンでプリンを完成させることができれば、おそらく卵と生クリームを使う分は、すんなりいくと思います。これは少なくともジェラートではそうでした。でも、プリンは違うかもしれません。

フードバリア(TM)をなくすための、プリンという名前の心の薬づくり、絶対に諦めません!

いつか名誉会長をうんこ漢字ドリルより、精進ヴィーガンプリンの虜にしてやります!

Small Talkの一覧へ戻る

Column TOP / Home

1分でわかる
プレマルシェ・ジェラテリア

  • 自然食屋が、そのノウハウの全てを注ぎ込んだ京都のジェラート店
  • イタリアジェラート協会 国際コンテスト3年連続複数部門受賞
  • 正統イタリアン・ジェラートでありながら、和素材を生かしている
  • 機能素材やスーパーフードを多用し、罪悪感ゼロで楽しめる
  • 日本最大級のヴィーガン、ノンミルクジェラートの品揃え
  • 安価で味の粗いサトウキビ由来の白砂糖は一切不使用
  • 合成乳化剤・合成安定剤、合成食品添加物は一切不使用
  • 主に外国人から特別に高い評価を受け、行列になる日もある
  • チーフ・ジェラティエーレ(ジェラート職人)は中川信男
  • 前代未聞の「ジェラートのすべてが米素材100%」も各種開発
  • 「食べたら血流が増加する」という公的試験機関データあり
  • 京都でフードバリアを超えるというプロジェクトを立ち上げ
    Beyond “Food barrier”! 参照 )
  • 私たちが作るジェラートは「心の薬である」と真剣に希求